今時のドメイン名初期取得費用は昔と比べると大幅に下がっています。ワンコイン、下手をすると無料で取得することも可能だったりします。その反動なのでしょうか、2年目から更新費用がものすごい高く設定されている場合があります。
機能的にはほぼ全く変わらないのになぜ費用が高くなってしまうのか。ドメイン名は一度使い始めると、そう簡単に変更することは難しいので入口の敷居を低くして長期的な収入を得よう、ということでしょう。所謂、撒き餌というやつですね。
例えば、携帯電話のMNPであればキャリアの通信品質などが変わってくるので価格と質のバランスを考えてそのままでよいのか、更新のタイミングで別のキャリアに移るのか考えると思います。同じ様にドメイン名も更新のタイミングでどうするか考えるべきかと思います。
ただ前述の通り、ドメイン名の登録自体は機能や品質に影響しないので純粋な値段、維持費・更新費が低コストであればあるほどよい、ということになります。このサイトのドメイン名も更新のタイミングが来たのでどこか安いレジストラがないか探していると、まさにうってつけのレジストラを見つけました。それがCloudflareレジストラでした。



Cloudflareレジストラの費用がリンク先にありましたので引用しておきます。これを見るとCloudflareの取り分、儲けが$0.00となっています。通常であれば、ドメイン再販業者の利益となる部分が全くありません。となる、つまりユーザーからすると原価、最安値で利用できるということになります。
ドルでの支払いとなるので為替レートの変動によって価格の増減はあると思いますがそれでも通常のレジストラの更新費用に比べれば、十分メリットはあると思います。
なぜこのような価格が実現できるのか? Cloudflare の元々のビジネスはドメイン再販業ではないので、その部分での儲けがなくてもよい、浮いた分の費用を自分たちのメインのビジネス分野で使ってもらえればよい、という考えのようです。詳しい説明は下記のリンク先に書かれているので興味があれば参照してみてください。


ドメイン移管の前に
この様に価格的にメリットがあるCloudflareのレジストラですが、すべてのドメインをサポートしているわけではありません。移管前の検討事項としては使用しているドメインがサポートされているのか調べる必要があります。
サポートしているTLDの一覧が下記リンクになります。jpドメイン等のような国、地域に縛られるドメインはサポートしていませんがcomドメイン等、一般的なドメインを含めて多数対応しています。お使いのドメインが対応していれば Cloudflareレジストラでローコストにドメインを維持できるでしょう。

また、どのレジストラでも共通するのですが、ドメイン登録または前回の移管から60日以内、および登録者情報の変更後に60日間の移管ロックをした場合には、ドメインを他のレジストラに移管することができません。これはICANNの共通ルールのようです。
その他に、現在利用しているレジストラ独自のルールがある場合もあります。例えばドメインの期限切れが近いと実施できない、といった場合です。詳しくは利用しているレジストラのヘルプデスクに問い合わせてみるとよいでしょう。

また、Cloudflare にドメインを移管するにはあらかじめCloudflareのDNSにドメインを登録しておく必要があります。何もしていなければ殆どの場合、ドメイン購入したレジストラのDNSに登録されたままになっていると思います。
CloudflareのDNSは無料で利用できます。レコードの登録は一般的なDNSと同じ考え方となりますので難しい事はないと思います。CloudflareのDNSではDNSSECという機能でセキュリティを高める設定を使用することができます。登録後はそちらも検討してみると良いと思います。
ドメイン移管作業
ドメインの移管手順は下記のリンク先に書かれています。
以下、一般的なドメイン移管の手順と同じだと思いますが、実際に行ってみたので参考になれば幸いです。スタードメインからの移管手順となります。2019/10時点での手順となります。今後、UI等が変更される可能性もありますので読み替えて貰えればと思います。
移管元での作業
ドメイン移管に必要な情報はAuth code(認証キー)になります。これを受け取るには登録者情報(WHOIS)のメールアドレスが自分のアドレスになっていないといけません。通常はWHOIS代行でスタードメインのアドレスになっていると思います。また、スタードメインの場合、レジストラロックを解除するには契約解約しないとできない様です。
難しい様に見えますがひとつひとつ作業していけば問題ありません。ただ、解約してしまうので前述の通り、事前に移管が可能なのか調べておく必要があります。有余を持って作業しましょう。

メールアドレスの設定
Auth codeを受け取るメールアドレスを変更するには、WHOIS上の登録者情報を変更する必要があります。スタードメイン管理 -> 管理ドメイン一覧 -> ドメイン管理ツールから登録者情報変更をクリックするとエディと画面が出ますのでメールアドレスを登録します。
メールアドレスを変更すると、確認のためのメールが届きます(レジストラロック解除の有無によって届かない場合もあるようです)。メールに記載されているリンクをクリックすると変更作業が終了です。


Auth code(認証キー)の取得
メールアドレスの有効性が確認できれば認証キーを取得可能です。スタードメイン管理 -> 管理ドメイン一覧 -> ドメイン管理ツールから認証キー送信をクリックするとメールで認証キーを受け取ることができます。移管先で必要な情報になりますのでメモしておきましょう。
レジストラロック解除
レジストラロックの解除をするには利用停止、つまり契約解約をする必要があります。解約してもドメイン名は期限切れまで有効ですので、即使えなくなるということはありません。
利用停止するには、スタードメインにログインして契約管理 -> 決済情報 -> 利用中のサービスから実施可能です。移管したいドメインの利用停止をクリックすると解約することができます。一旦実施するとキャンセルできないのでご注意ください。
利用停止後、スタードメイン管理 -> 管理ドメイン一覧 -> ドメイン管理ツールからレジストラロックの変更を行うことが可能です。状態がOFFになれば解除されています。



移管先での作業
Cloudflare にドメインを移管する作業になります。前述の通り、事前にドメイン名を Cloudflare のDNSに登録していることが前提になります。
移管の手順としては、Cloudflare ログイン後移管ドメインの選択、認証キーの入力、WHOISの入力になります。
複数ドメインをお持ちの場合、面倒でもひとつひとつ移管することをおすすめいたします。実際、Cloudflare のインターフェイスは複数ドメインの移管に対応していますがエラーに遭遇してしまいました。
エラー内容としては一部のドメインだけ移管に成功して残りはRetry againとでるような症状です。何度かリトライすると最終的には移管はできるのですが、何度もリトライしたせいか請求書を見ると二重課金になっていました。そうなった場合、Cloudflare サポートとのやり取りなど英語で行うことになると思います(日本語対応してくれるのか不明です)ので余計な時間を取られてしまいます。ひとつずつ移管することでそのリスクを減らすことができると思います。
そういった意味ではもう一つのリスクヘッジとして決済方法はPaypalをおすすめいたします。為替レートが高めですが、決済の異議申し立て画面がデフォルトで用意されていますのでトラブル対応が楽になります。実際の経験として、Cloudflare サポートとのやり取りで救済されなかった一部の二重課金もPaypalに連絡したら解決しました。日本語もつかえますし安心です。
Cloudflare での作業で使うブラウザはChromeをおすすめいたします。決済情報の登録でPaypalを選択した場合、Firefoxだとなぜか画面が出てこなかったのでつまずきました(ブラウザキャッシュをクリアすればもしかしたら解決したのかもしれません)。
移管ドメインの選択
Cloudflareにログインすると下記のようにドメインを登録するリンクがあると思います。こちらをクリックします。移管作業のウィザード画面に移行します。
事前に決済方法など登録していないと、ここで登録する必要があります。リンクをクリックして登録してください。また、メールアドレスの確認も必要になりますのでリンクをクリックして確認しましょう。


上記確認が済むと移管するドメイン選択の画面になります。前述の通り、ひとつだけ選択することをおすすめいたします。価格が出るので問題ないか確認しましょう。

認証キーの入力
この画面では移管元から取得したAuth codeを入力します。複数ドメインを選択していると入力欄も複数表示されます。
複数ドメインの場合は、各入力欄の脇にあるドメイン名と紐付いているauth codeを入力する必要があります。

WHOISの入力
登録者情報の入力画面です。ここで入力した内容は移管されると、 外部からのリクエストには Cloudflare の情報が代わりに表示されます。迷惑メール等の心配はしなくてもよさそうです。

この画面に到達すると、移管作業が終了です。キャンセルの可能性も考慮して実際の移管は数日後になります。後は待つだけです。目安として一週間ほどで切り替わると思います。
念のため、後日Paypalや Cloudflare 等の請求書を確認しておくと良いかもしれません。取引の反映が数日後になる可能性もありますので再度のチェックをおすすめいたします。

移管前になにかの事情で移管作業をやめたい場合は、途中でキャンセルすることができます。Cloudflare のドメイン登録のリンクを再びクリックするとステータスの画面が出ます。こちらでキャンセル処理が可能です。

移管が完了すると下記のようなメールが届きます。

移管後
移管後の作業は特にないですが、もし取引状況がおかしいようでしたら私と同じ様にサポートとのやり取りが発生するかもしれません。ひとつだけ移管する場合は問題ないと思いますが。
次回のドメイン更新はデフォルトで自動となっているようです。設定で自動更新しないようにすることもできます。期限が近づいたときに通知が来るかどうか不明です。
Cloudflare からの移管は今のところ考えておりませんが機会があれば試してみたいと思います。
素晴らしいレジストラだと思いますが、惜しむらくはドメイン名の取得ができないことです。移管だけでなく、初期のドメイン名取得もできるととても良いのですが、その辺り価格競争になりそうであえて対応していないのかもしれません。せめて高額な料金をふっかけてくるバックオーダーは同じくローコストで対応してもらいたいのですが。
DNS以外にもCloudflare は機能を提供していますので、この機会にトライしてみるのも良いと思います。無料の範囲内でも様々なことが可能です。
追記
2020/07時点、Betaながらドメイン取得もできるようになっているようです。jpドメインなどは対応していないようですが.comなど多数に対応している模様です。


